【残念】コストカットのあおりを受けて低規格化されたIC・JCTまとめ
【前提】IC&JCTの構造を理解する
高速道路のIC、普段何気なく利用している中にも様々な形があるのをご存知でしょうか。
トランペット型
こちらの写真のようなものがトランペット型ICです。言われてみればトランペットのような形をしているかな…というような感じではありますが、特徴として、『立体交差部が1ヶ所のみ』という点があります。ただし、急なカーブが長く続き、使用する用地も比較的広いのも特徴であります。
この形は日本各地のインターチェンジで見ることができ、大定番ともいえるでしょう。
T字型
こちらは首都高速などの都市部において用いられやすい構造です。名前の由来は見た目のままでT字に見えるという点からです、メリットとしては用地取得量が少なく済む点、ドライバーにとって行きたい方向と進む方向が一致する点です。デメリットとしては立体交差の数が格段に増えるという点で、3段階での立体かつ最低で2本の橋の建設が必要になります。
低コストT字型
まさかまさかの平面交差インターチェンジです。構造はT字型に近いものですが、上り線と下り線の交差部を平面にしてしまいました。メリットとしてはコストが抑えられるという点になりますが、デメリットとして、逆走の可能性がある、安全確認の為に一時停止が必要な点になります。デメリットが大きすぎる気がしますが、交通量が少ないICに多く建設されています。後述しますが、圏央道はこの形の宝庫です。
No.1 茂原北IC
路線名 | 【C4】圏央道 (首都圏中央連絡自動車道) |
番号 | 102 |
所在 | 千葉県茂原市 |
まずは圏央道シリーズから見ていきましょう。こちらは千葉県茂原市の茂原北インターチェンジです。接続しているのは県道21号新治バイパスになります。すぐ東側には千葉外房有料道路もあり、それなりの交通量が見込まれますが、トランペット型から平面T字型に変更されて建設されてしまいました。側道は不自然に大きく迂回して建設されており、その内側には調節池らしきものがみられます。
No.2 神崎IC
路線名 | 【C4】圏央道 (首都圏中央連絡自動車道) |
番号 | 86 |
所在 | 千葉県香取郡神崎町 |
圏央道はコスト削減のあおりを受けやすいのでしょうか。この神崎ICは用地取得、ボックスカルバートの建設まではトランペット型での建設の予定であったことが良く分かります。
No.3 佐久南IC
路線名 | 【E52】中部横断自動車道 |
番号 | 割り当てなし |
所在 | 長野県佐久市 |
こちらも用地取得はされているようですが、低コストT字型での完成となりました。
No.4 新清水JCT
路線名 | 【E1A】新東名高速道路 【E52】清水連絡路 【E52】中部横断自動車道 |
番号 | 9 |
所在 | 静岡県静岡市清水区 |
このJctも本当に見ていて面白いです。
こちらは新東名高速道路と東名高速道路を繋げる連絡路の先にできた中部横断自動車道との交差部になるのですが、連絡路→中部横断道の間に本線が無いのがわかるでしょうか。また、イカのミミも至る所に見られます。
イカの耳の原因
お察しの通り、中部横断自動車道の現在の形は計画当初からのものではありませんでした。
この新清水JCTが𠮷原JCT(仮称)とされていたころ、少なくとも2003年前後までは上記の画像のようなオレンジのラインを通る予定であったのが分かります。
その後(時期不明)北東側の山を削る量を減らすためにこのような歪な形になったと推測できます。
しかしながら、この計画では先に紹介した画像のような中央分離帯内側の本線を増設できそうなスペースの解明にはなりません。これについてはいつか調べてみたいと思います。
【番外】中部横断自動車道 佐久付近
路線名 | 【E52】中部横断自動車道 |
所在 | 長野県佐久市 |
こちらはICでもJCTでもありませんが、非常に残念なコストカットを感じるポイントです。
場所は長野県佐久市、2011年に開通した中部横断自動車道の北陸新幹線との交差部になります。
上が付近の航空写真で、下がこの交差部のストリートビューになります。明らかに不自然です。
見てくださいこの車幅。前後の勾配&カーブもひどく、高さは4.5mに制限されます。無料区間とは言え、高速道路なんて間違っても言ってはいけないような規格ですよこれ。首都高速都心環状線のようです。直後(直前)にはJR小海線をまたぐ高架があることから、新幹線に合わせるために無理やり線路と水平にクロスしようとした結果、このような不可解なカーブ&勾配が完成してしまいました。
本来は新幹線を小海線同様高架でまたぐ予定だったとのことですが、コスト削減の結果こうなってしまったそうです。これじゃ4車線化なんてできそうにありません。