南波志帆『fille! fille!fille!』レビュー・感想。新しい南波志帆像を感じさせる作品。

「南波志帆」の画像検索結果

※本当に稚拙ですが感想を述べさせていただきます。記事にしていいという文章のレベルではありませんが、南波志帆を少しでも多くの人にも知っていただきたいのです。

このアルバムは2018年にリリースされたベストアルバム『無色透明』以来約半年、アルバムでは 『meets sparkjoy』 以来約二年ぶりのリリースのアルバムである。

「fille fille fille」の画像検索結果

・南波志帆は「無色透明」なのか

ベストアルバムの 『無色透明』 というタイトルだが、なぜ確かに彼女は「マジックヴォイス」とも評される、透き通るような歌声を持ち、セルフプロデュースや「xxx of Wonder」、NHKでのラジオなど、多彩な才能を遺憾なく発揮し、精力的な活動を行ってきた。

無色透明 難波志保

では南波志帆自身に独自の色はないのだろうか。 どんなプロデューサーともマッチするから無色なのだろうか。
自分には決して南波志帆が無色で透明であるとは思えない。 無色透明なんて南波志帆自身には何も意思が無いみたいではないか。

今作はそんな南波志帆の新しい色を呈示するような、挑戦的な意欲作だ。
無色透明へのアンサーにもなるのではないかと自分は勝手に思ったりもする。

自身のデビュー10周年の前日発表された今作は、JPOP的なアプローチからは離れ、「大人の女性」をテーマにフレンチポップ調のサウンドを基軸としている。実際に聴いてみると、今までの南波志帆とは違った印象を受ける曲が多いと感じる。

・楽曲の感想

・Fille! Fille! Fille!

アルバムの表題曲であり、MVがYouTubeに公開されている。

MVの歌詞の表示方法など、オールドでレトロだけど今となっては新鮮な感じだなと思う。

「 強気な態度キメて」

「でも心の奥かわいさ 」

「小悪魔的な恋よ Je t’aime.」

「駆け引きするの得意 」

Fille! Fille! Fille! – 南波志帆

「 制服を脱ぎ捨て 駆け出したい空」

「大人でも子供でもない季節を もう二度と戻らない風景感じて 」

「 制服がゆらゆら 君がきらきら」

こどなの階段– 南波志帆

今作のイメージとして、 25歳になった『大人の南波志帆』 というものもあり、 まさに大人の階段を登ったなというのが歌詞から曲調まで、表題曲であるこの曲に最大限詰め込まれている。

・大人の恋、魔法

タイトルの通り、今までの南波志帆とは違う、青春とは離れた大人な感じがする曲。リズム感が独特。

・青いヴィーナス

カラオケで歌ったらすごく難しそうだなと思う曲。男女の恋ではなく、女同士の関係性を描いている。演奏が不思議で面白く、インストでも聴いてみたい。

・テリトリー

ほかの個体または集団の侵入に対して防衛する空間区域

テリトリー とは

個人的に一番好きな曲。謎めいたイントロから始まり、サビに向けての盛り上がり方が素晴らしいなと思う。

「 冷めた表情で過ごして 煩わしさ 回避せよ 」

「 垂直落下で積もっていくタスク 」

「 疲れ果てる週末 深層の床に沈んだら… 」

「 晴れた表情で過ごして この空間はラボラトリー 」

「 明け暮れている 休日だけはずっと情熱を灯して 」

テリトリー 南波志帆

忙しくて嫌なことや物騒なことも多い平日のパブリックな空間を二回目のサビまでは表現している。
最後のサビでは、途中までの憂鬱な歌詞と変わって明るく楽しそうな印象を受ける。

「 帰路に着くから 素顔になれる場所 」ともあるように、週末のプライベート空間(家など)での時間を「ラボラトリー」「テリトリー」と表しているのではないだろうか。 「冷めた 表情で過ごして」と「晴れた 表情で過ごして」の対比もパブリックとプライベートでの気持ちの差を表しているのだろう。

「受信帯域をすぐに切り替える 」「 心のアンテナは異常な程の感度 」

テリトリー 南波志帆

とあるように、自分の意識の先を受信帯域に例えて嫌なものから逸らそうとする姿を例えているのだろうか。
これに関連して、曲中に聞こえてくる電波の周波数帯を変えるような音も面白い。

「 月曜だ また… 」

テリトリー 南波志帆

また月曜からの1週間が始まることに対する失望感には凄く共感できる。特に土日が楽しかった時は更に月曜日が来るのが嫌で仕方ないと思ってしまうのは自分だけではないはずだ。

魅惑の巴里サーカス急行!

アップテンポでアルバムの中で1番にぎやかな曲。走り抜けるように曲が進んでいく。はじける曲ははじけ、落ち着いた曲ではしっかり落ち着く、南波志帆の歌い分け方が良い。

・宇宙アムール

2番目に好きかもしれない。「テリトリー」のような不思議さ、浮遊感を感じる。Aメロのリズム感が小気味良くてハマる。この曲と前曲は昔からの南波志帆のイメージに近い。同じ宇宙繋がりなら「宇宙の中のふたりぼっち」にも似たような雰囲気。

・総評

アルバムを通していえることは、 「大人の女性」をテーマにしているからこそ、南波志帆の歌詞の世界も大人な雰囲気になったなと思える。 60年代テイストでレトロな雰囲気な曲を歌う南波志帆もありだなと思う。

インタビューで本人が「新しい自分が見てみたい」と語った通り、新しい南波志帆のイメージを提示するコンセプトアルバムともいえるのではないだろうか。今回のアルバムの方向性を次回作も続けるのか、または新しいコンセプトを提示するのか、どちらにしても今後の南波志帆への期待は大きい。

南波志帆の曲は多才だ、ロック的なアプローチやJPOP、ラップとのコラボやフレンチポップ、テクノポップなど、ぜひ様々な曲を聞いてほしいと思う。