「VAIO SX12」実機レビュー 小型軽量かつ全部入りなPC
こんにちは。久しぶりのノートパソコンの実機レビューになります。
SONYのPCブランドというイメージが根強いVAIOですが、現在はVAIO株式会社として独立しています。
今回紹介するのは「VAIO SX12」です。11インチクラスの本体サイズで12.5インチのディスプレイを搭載し、小型にもかかわらず19mmのキーピッチを確保しているという、全部入りのノートパソコンです。個人的にはモバイルノートパソコンの完成形的なスペックだなと感じていたので、購入することができてうれしい限りな機種になります。
カスタマイズモデルの特徴
今回はVAIOストアからカスタマイズモデルを選択しています。選択できるスペックに大きな差はありませんが、VAIOストアの場合は標準で水濡れなどの故意の物損事故にも対応した「パソコンあんしん3年サポート」が付属しています。
VAIOストアのカスタマイズモデルの特徴
- 3年の物損保証が標準で付属
- 「VAIOオリジナルSIM」の一年プランが無料(期間限定)
- LTEモデルのみ選択可能
SONYストアからカスタマイズモデルも選択することができますが、その場合はオリジナルSIMの販売はありません。また、標準で3年間の物損保証ではなく初期不良保証になります。物損保証を追加する場合はさらに料金がかかります。
基本スペック
変換アダプター要らずな端子構成
「VAIO SX12」に限らず、VAIOシリーズの特徴は圧倒的なポート類の多彩さにあります。13インチ未満のモバイルPCでフルサイズのUSBポートが3つあるだけでも珍しいうえに、最近では見る機会が少なくなったアナログD-Sub端子まで搭載しています。一般家庭などでは絶滅危惧種的な扱いにあるこの端子ですが、D-Sub専用のプロジェクターなど、ビジネス利用ではそれなりに使う機会が多いからこそ外付けアダプター無しでどんな環境にも対応できるようにしているとのことです。
最近はType-C端子1つのみやUSB×1&Type-C×1なモバイルPCもそれなりにある中で、ここまで端子を搭載してこのサイズ感、この点はどのメーカーのPCにもないVAIOならではのメリットです。
実機レビュー
本体デザイン
今回購入したカラーは「ブラウン」です。また、キーボードは英字キーボードを選択しています。
12.5インチながら900g、幅28cm程度と、小型軽量に抑えられていて素晴らしいとしか言いようがありません。13インチ未満のノートパソコンの中では最も軽い部類に入るのではないでしょうか。
SX12の特徴でもあるキーボード部です。本体の左右いっぱいまでキーボードが広がっていることで、11インチクラスの本体サイズでフルサイズのキーピッチを確保しています。(写真は英字キーボードモデルです)手の大きな人にとってはキーピッチ19mmが使いやすいという意見が多いと思いますが、手の小さい人など、意外にキーピッチが小いほうが使いやすいという意見もあるので、必ずしも大きい=良いというわけではないとも言えます。個人的には左右ぎりぎりまでキーボードが広がっているデザインがかっこいいので好みです。
タッチパッドのサイズは幅約8cm、縦約4.5cmで、クリックボタンが独立しています。今まで私はタッチパッドが一体化したクリックボタンのPCを使用してきたのですが、ボタンの押し込みやすさから独立していたほうが使いやすいと思いました。
十字キーの下あたりに指紋センサーが搭載されています。赤外線センサーを利用した顔認証もオプションで選択できます。
ディスプレイベゼル部です。横幅は5mm、縦は2cm程度です。前モデルの「VAIO S11」に比べてベゼル幅が大幅に狭くなったことから、かなりスタイリッシュな印象になりました。
端子類
端子類です。左側面左側(奥)から充電端子、セキュリティスロット、USB×2、イヤホン端子です、右側面には右側(奥)からD-Sub(VGA)、LAN端子、HDMI、Type-C、USB、SDカードスロットです。
挿すことができる端子を挿し込んでみました。(D-Sub端子は自宅に見つかりませんでした)実際にここまで同時に使うかはわかりませんが、ポート類の多さを実感できます。
SIMカードスロットは背面ヒンジ側中央部にあります。simカードのサイズはNanoSIMではなくmicroSIMになりますので、スマホと共用する際などは変換アダプターが必要になります。間違ってNanoSIMを挿し込んでしまうと取り出すことが難しくなってしまうので注意が必要です。
CPU
CPUは第10世代「Comet Lake」、4コア8スレッドの「Core i5-10210U」を搭載しています。第10世代CPUには、プロセスルールが10nmの「Ice Lake」も存在しますが、Comet Lakeは前世代から引き続き14nmです。
VAIO製ノートパソコンの特徴として、「VAIO TruePerformance」があります。詳しくは以下のリンクで確認していただきたいのですが、簡単に言うとVAIOだからこそできる排熱技術を活用することで、CPUのクロック数が高い状態を維持できることから性能アップにつながるといった感じです。
VAIO TruePerformance | VAIO株式会社公式総合TOPページ
日々、機能アップした新製品が登場するノートPC市場ですが、さすがにここまでの進化はまれ。今なら、買い換えた直後に、ぐんと高性能なPCが出てしまってがっかりするということもないでしょう。て …
リンク先では「Core i5がi7を超える性能を引き出すことができる」としていますが、実際にどうなのでしょうか、Passmarkベンチマークを行いました。
「VAIO TruePerformance」をオンにするには、「VAIOの設定」から動作モードを「パフォーマンス優先」にする必要があります。
スコアは「7148」です。Pssmarkの公式サイトの表記では「6453」で、「VAIO TruePerformance」の効果が出ているのでしょうか。また、上位モデルである「Core i7-10510U」のスコアが「7108」と、スコア上では上回っていることが確認できます。
静粛性ですが、高負荷時にはファンからそれなりの音が出ますが基本的にはかなり静かな部類に入ります。「VAIO Pro11」は通常時でもファンが回る音が聞こえましたが、大幅に改善しています。
ストレージ
ストレージはサムスン電子製のPCI-Express接続SSD「MZVLB256HBHQ」です。VAIO曰く、第3世代ハイスピードSSDとのこと。
お馴染みCrystalDiskMarkでベンチマークをとってみました。
PCI-Express3.0接続のSSDの中でも最も早い部類に入るのではないでしょうか。
ネットワーク
WiFi/BluetoothモジュールはQualcommのM.2接続、「QCA61×4A」です。WiFi 5、デュアルバンド接続で最大通信速度は867Mbpsです。Bluetoothバージョンは4.1です。WiFi 6&Bluetooth 5.0に対応している機種が増えている中、2020年のモデルとしては少し古い印象です。
楽天の速度
LTE接続に対応しています。モジュールは「Telit LN940」で、最大通信速度は450Mbps、日本のキャリアが利用する周波数のほぼすべてに対応しています。
周波数 | LTE:1、2、3、4、5、7、8、12、13、17、18、19、20、21、25、26、29、30、38、39、40、41、66 UMTS:1、2、4、5、6、8、19 |
試しに格安SIMのmineoと楽天UN-LIMITで接続してみましたが、十分な速度が出ていることを確認できました。
これはWindows側の問題なのですが、うまくLTEネットワークに接続できない(APNの設定がうまくいかない)場合が多いです。今後のアップデートで解消してほしいところです。
充電
個人的にノートパソコンを買う上で必須項目にあるのが、USB Type-C充電(USB PD)に対応しているかです。スマートフォン、ワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなどの充電がすべて一つの充電器、ケーブルで行えるって凄く快適ではないですか? Type-Cケーブル様様です。
外出先でも18W出力のモバイルバッテリーで十分充電できます。また、緊急利用的に5V出力の充電器でも充電ができるようになっています。
もちろん旧来のDC接続(丸形プラグ10.5V)でも充電できます。充電速度はこの端子のほうが安定していますね。個人的には5V1AのUSB端子がついてなくていいのでもう少し充電器が小さくなってくれると嬉しいです。
その他
・プリインストールされているソフトウェア
上記のVAIO関連以外に、マカフィーの体験版がインストールされていました。表に出で来ないのならまだしも、起動するたびにデスクトップに出てくる非常に目障りなソフトがプリインストールされているPCもあるなか、インストールされているソフト一覧がスッキリしているのは好印象です。
・SDカードリーダーの速度
まとめ
素晴らしいところ
- 小型超軽量
- 打ちやすいキーボード
- 高性能
- 端子類が豊富
- かっこよすぎるデザイン
VAIO、ソリッドでシャープな印象でやはりとってもかっこいです。以前に「VAIO Pro11」を所有していましたが、この系統の「VAIO」らしさが出ていて凄く良いです。表から見ても横から見ても後ろから見てもVAIOらしさが出ていて、所有欲を満たしてくれる個人的ノートパソコンの完成形だなと思います。
改善してほしい点、次期モデルに期待したい点
- Bluetooth4.1 WiFi 5 は古めな構成
- ディスプレイの色域が狭い印象
そのくらいしか思い浮かびませんでした。本文では特に触れていませんが、ディスプレイの色域が狭いように感じられます。特定の色味が強いといったわけではありませんが、全体的に発色がそこまで良いとは言えません。その点はSONY時代の「Pro11」のほうが綺麗だったなとも感じました。写真加工や現像などをしない限りは気にならないだろうと思います。