【2026】ヤマダデンキの店舗数推移。資料で読み解く「大型店シフト」戦略


ヤマダデンキ(ヤマダホールディングス)の国内直営店舗数は、2023年3月末の999店をピークに少しずつ減少していて、2026年2月末時点では931店になっています。ただし、単純に「店を減らしている」というわけではありません。小規模な店舗を閉めて、より大きな複合型店舗を新たに出店する「スクラップ&ビルド」と呼ばれる戦略の結果です。本記事では、公式の決算説明会資料・月次速報(2026年3月5日公表)をもとに、店舗数の推移と、その背景にある戦略をわかりやすく紹介します。
📌 データの時点について
本記事の店舗数データは、ヤマダホールディングスが公表している公式資料に基づいています。最新の数値は 2026年2月末時点(月次速報)です。2026年3月期(期末)の確定値は2026年5月予定の決算発表まで未公開です。
店舗数の推移(2023年〜2026年2月末)
| 時点 | 直営店舗数 | 出店数(累計) | 退店数(累計) | 純増減 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月末 | 999店 | ― | ― | ― |
| 2024年3月末 | 975店 | 22店 | 46店 | △24店 |
| 2025年3月末 | 949店 | 19店 | 45店 | △26店 |
| 2025年12月末(3Q末) | 946店 | 17店 | 20店 | △3店 |
| 2026年2月末(最新) | 931店 | 19店 | 37店 | △18店 |
2026年2月末時点(2026年3月期の4〜2月累計)では、出店19店に対して退店37店となっており、前期(2025年3月期)と同じくおよそ2倍のペースで退店が進んでいます。なお、退店数が増えている背景のひとつとして、LABI名古屋・LABI仙台といった大型旗艦店も含む退店が発生したことが公式資料に明記されています。
業態別の内訳(2025年3月末時点)
最新の業態別内訳は2025年3月末の決算確定値です。2026年2月末時点の業態別内訳は月次速報に記載がないため、参考値として掲載します。
| 業態 | 店舗数 |
|---|---|
| LABI(大型旗艦店) | 13店 |
| LIFE SELECT(Tecc含む) | 36店(うち LABI LIFE SELECT 6店、Tecc LIFE SELECT 30店) |
| YAMADA web.com | 28店 |
| テックランド(標準型) | 547店 |
| 家電住まいる館 | 12店 |
| アウトレット・リユース専門店 | 45店 |
| インショップ型店舗 | 25店 |
| テックランド(小商圏) | 73店 |
| 地域密着型 | 147店 |
| PC専門店 | 7店 |
| 家具専門店 | 15店 |
| ドラッグ専門店 | 1店 |
| 合計 | 949店 |
その後、LIFE SELECTは2025年12月末時点で全国41店舗に拡大していることが第3四半期決算短信に記載されています。
「店舗数が減っているのに売場面積が増えている」のはなぜ?
数字を見るとちょっと不思議に感じるかもしれませんが、これこそがヤマダデンキの今の戦略をよく表しています。
2026年2月末時点の売場面積は2,923,393㎡で、前年同月比+1.8%と増加しています。
Source: ヤマダホールディングス 各年度決算説明会資料・月次速報
2026年3月期(4〜2月累計)の増床面積は50,575㎡に対して退店による減床は限られており、差し引きで+50,575㎡(前期末対比+1.8%)のプラスです。つまり「閉める店は小さく、開ける店は大きい」という構図が、2026年2月末時点でも続いています。
| 時点 | 売場面積 | 前年同月比 / 前期比 |
|---|---|---|
| 2024年3月末 | 2,848,200㎡ | +1.6% |
| 2025年3月末 | 2,872,818㎡ | +0.9% |
| 2025年12月末(3Q末) | 2,950,751㎡ | +2.4% |
| 2026年2月末(最新) | 2,923,393㎡ | +1.8% |
LIFE SELECTってどんなお店?
ヤマダデンキが現在もっとも積極的に展開しているのが「LIFE SELECT(ライフセレクト)」です。売場面積3,000坪(約9,900㎡)以上を目安とする大型複合店舗で、家電だけでなく家具・インテリア、リフォームの相談窓口、金融サービスなどをひとつの建物にまとめた「くらしまるごと」というコンセプトのお店です。
公式資料では、LIFE SELECTならではの強みとして以下を挙げています。
- 客数UP:特に女性やファミリー層を取り込みやすい
- 一人当たりの購入点数UP:ワンストップでいろいろ揃えられる
- 客単価UP
- 粗利率UP:リフォームや家具インテリアは家電より粗利率が高い
- 広域集客:商圏人口50万人規模でも十分な売上・利益を確保できる
LIFE SELECTの売上構成比(全直営店舗対比)は、2022年3月期の3.9%から2025年3月期には17.3%まで大きく伸びており、店舗数でも2025年12月末時点で全国41店舗と着実に増えています。
スクラップ&ビルドの具体的な流れ
小型店を閉めるのは、単なる縮小ではありません。公式資料では、閉店によって生まれるメリットとして以下の点を説明しています。
- スタッフの配置転換:退店した店舗のスタッフを新しい大型店に移すことで、追加採用のコストを抑えられる
- 商品在庫の集約:大型新規店舗に在庫をまとめることで、在庫の効率が上がる
- 跡地の有効活用:閉めた後の建物は他のテナントへの転貸や売却で収益化する
月次速報でも「退店の増加はLIFE SELECTをコア店舗としたS&B(スクラップビルド)による退店。売場面積増に向けた店舗開発は計画通り進捗」と明記されており、退店は計画的な戦略の一環であることが確認できます。
2026年3月期の通期計画と今後の見通し
2026年3月期は年間20店舗の出店を予定しています(スクラップ&ビルド含む)。引き続きLIFE SELECTを中心に据えたエリア別の店舗開発を進め、地域ごとのシェア確保と収益性の向上を目指す方針です。
2030年3月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高2.2兆円・経常利益1,000億円を目標に掲げており、LIFE SELECTを中核とした店舗戦略がその根幹を担っています。
まとめ
ヤマダデンキの店舗数の変化を一言で表すなら、「数より質への転換」です。2026年2月末時点の直営店舗数は931店と、2023年3月末の999店から約70店減少していますが、売場面積は逆に増加し続けています。店舗を閉めることは縮小ではなく、より大きく・より稼げるお店づくりに向けた投資と考えると、この動きが見えやすくなるのではないでしょうか。2026年3月期の期末確定値は2026年5月の決算発表で明らかになる予定です。