QualcommからミッドレンジSoC『Snapdragon 6 Gen1/4 Gen1』登場。前世代との比較。【大幅進化?】
ついにミッドレンジ帯においても命名規則の変更が行われました。2013年前後の「S4」からの変化以来になります。
2022年初秋、Qualcommはミッドレンジ帯のSoCとなる『Snapdragon 6 Gen1』と『Snapdragon 4 Gen1』を発表しました。前モデルとしては『Snapdragon 695』『Snapdragon 480』が該当します。
この命名規則は今年初めに『Snapdragon 8 Gen 1』で変更されていたものであり、ちょうど600番台も『695』とこれ以上の名称が作れなくなったことから変更されたのでしょう。
今回は仕様、前モデルとの比較を行います。
整理:SoCのランク順
こちらがSnapdragonシリーズの番台とその性能ランクの順になります。
- Snapdragon 800:8 Gen X (ハイエンド)
- Snapdragon 700: 7 Gen X (ミッドハイ)
- Snapdragon 600:6 Gen X (ミッドレンジ)
- Snapdragon 400:4 Gen X (ミッドロー)
- Snapdragon 200:?(ローエンド)
Snapdragon 6 Gen 1 / 695
Qualcommの全モデルの中ではミッドレンジの中のミッドレンジに該当します。このシリーズのSoCを搭載した機種としてはAQUOSの「Sense」シリーズや、XPERIAの「10」シリーズなどが有名でしょうか。コストパフォーマンスの良さから多くのスマートフォンで搭載されている印象です。
スペック表
Snapdragon 6 Gen 1 (SM6450) | Snapdragon 695 5G (SM6375) | |
---|---|---|
プロセスルール | 4nm | 6nm |
CPU | Kryo Cortex-A78×4 Cortex-A55×4 | Kryo660 Cortex-A78×4 Cortex-A55×4 |
CPUクロック数 | 最大2.2GHz | |
GPU | Adreno | Adreno 619 |
GPU機能 | H.265 HDR OpenGL ES3.2 OpenCL 2.0 | H.265 OpenGL ES3.2 OpenCL 2.0 |
GPUクロック数 | 840MHz | |
メモリ | LPDDR5 | LPDDR4X |
4K動画撮影機能 | 4K 30FPS | ― |
スローモーション機能 | 720p 240FPS | 720p 120FPS |
モデム | Qualcom X62 5G ミリ波対応 | Qualcom X51 5G ミリ波対応 |
ダウンロード 通信速度(5G) | 最大2.9Gbps | 最大2.5Gbps |
ダウンロード 通信速度(4G) | 最大800Mbps | |
Wi-Fi | Qualcomm FastConnect 6700 Wi-Fi 6E 対応(8×8) 最大2.9Gbps | Qualcomm FastConnect 6200 Wi-Fi 5対応(2×2) 最大 |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.2 |
充電規格 | QuickCharge 4+ | QuickCharge 4+ |
全体として大幅にスペックアップしているように感じます。CPU・GPUのクロック数は明らかになっていませんが、同社によると前モデル比でCPUで35%、GPUで40%の性能向上を果たしているとしています。また、メモリ規格においては最新である「LDPPR5」に対応しており、帯域の大幅な増加や消費電力の削減に貢献が期待できます。
HDR再生&4K動画機能が復活
『Snapdragon 690』→『Snapdragon 695』の過程においてなぜか削除されていた「4K解像度での動画撮影機能」と「HDRでの動画再生機能」が復活しました。これら機能は近年のモデルでは搭載が一般的になっていましたので元に戻ったというのがいいでしょうか。
ついに…やっと「Wi-Fi 6」対応
2019年前後から日本国内でも普及し始めた「Wi-Fi 6(ax)」ですが、これまでスマートフォン向けのSoCではハイエンドの「8」シリーズとミッドハイの「7」シリーズへの搭載にとどまっていました。
今回の『Snapdragon 6 Gen 1』では待ちに待った対応を果たしています。
Snapdragon 4 Gen 1 / 480
こちらはSnapdragonの中では実質的に最下位モデルに属しています。(200番台は存在するが、搭載機種は非常に少ない)日本国内のスマートフォンでは2018年頃まではミッドレンジ帯として多くのモデルに搭載されていた印象がありますが、近年はミッドロー的なポジションのモデルに搭載されやすいです。「OPPO A54」などがいい例でしょうか。しかしながら、400番台という名ではあれど十分な性能を有しており、普段使いでは全く不満を感じることはありません。
スペック表
Snapdragon 4 Gen 1 (SM4375) | Snapdragon 480/+ (SM4350/AC) | |
---|---|---|
プロセスルール | 6nm | 8nm |
CPU | Kryo Cortex-A78×2 Cortex-A55×6 | Kryo 460 Cortex-A76×2 Cortex-A55×6 |
CPUクロック数 | 最大2.0GHz | 最大2.9GHz(480) 最大2.2GHz(+) |
GPU | Adreno | Adreno 619 |
GPU機能 | H.265 OpenGL ES3.2 OpenCL 2.0 | H.265 OpenGL ES3.2 OpenCL 2.0 |
GPUクロック数 | 650MHz | |
メモリ | LPDDR4X | LPDDR4X |
4K動画撮影機能 | ― | ― |
スローモーション機能 | 720p 120FPS | 720p 120FPS |
モデム | Qualcom X51 5G ミリ波非対応 | Qualcom X51 5G ミリ波非対応 |
ダウンロード 通信速度(5G) | 最大2.5Gbps | 最大2.5Gbps |
ダウンロード 通信速度(4G) | 最大800Mbps | 最大800Mbps |
Wi-Fi | Qualcomm FastConnect 6200 Wi-Fi 5対応(2×2) 最大 | Qualcomm FastConnect 6200 Wi-Fi 6対応(2×2) 最大 |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.1(480) Bluetooth 5.2(+) |
充電規格 | QuickCharge 4+ | QuickCharge 4+ |
こちらはどうでしょうか。プロセスルールの微細化やCPUの最新世代への変更が見られますが、大きなスペックアップは見受けられないというのが正直なところです。モデムやメモリ規格に変更はなく、動画撮影機能関連も変化なさそうです。同社によると、前モデルと比較してCPUが約15%、GPUが約10%の性能向上があるとのことで、スペック表の通り「6 Gen1」ほどの大きな進化では無いということになります。『Snapdragon 460』から『Snapdragon 480』への進化が非常に大きかったことを考えれば妥当でありますが、『Wi-Fi 6』は対応してくれてもななんて思ってしまいます。