楽天モバイルの契約者は22万人減。1GB以下無料終了の影響大も営業成績は改善へ。理由は?

ついに楽天グループの2022年第二四半期決算が発表されました。この四半期の間に楽天モバイルでは『1GB以下無料』という内容が特徴であった『Rakuten UN-Limit Ⅵ』を終了させ、『3GBまで1,078円』の『Rakuten UN-Limit Ⅶ』に移行されました。この新プラン発表の反響は非常に大きく、PovoやIIJ、などへの乗り換えが殺到するなど、楽天モバイルにとっては印象的に厳しい四半期になりました。

一部調査では楽天モバイルユーザーの3割近くが乗り換えを検討しているとの話もありました。

その一方、『楽メール』と呼ばれるキャリアメールの提供開始や楽天市場でのポイント還元などの施策も開始されました。

そんな中での今回の決算発表、毎回楽天モバイルの契約者数も公表されていますが、今回は『22万人減』という結果で着地しました。

微減にとどまったか

『22万人減』と各報道記事などで伝えされていますが、全体の契約数からの減少率でみると『約4%減』にとどまります。楽天モバイルからの乗り換えを検討している人の割合が約3割もいたことに比べれば、かなり少ない結果になります。

こちらが楽天モバイルの最近の契約者数の推移です。同社が3か月間で積み上げたユーザー数と同数以上減少していることが分かります。

減少を必死に隠し通そうとする図

同社の決算発表資料では「1GB以上ユーザー数は純増」という言葉と共に、まるで1GB未満ユーザーは邪魔な存在でしかないかのような扱い方をしています。お金を払わないユーザーは邪魔という考え方は、投資家向けの情報なので仕方のないことですが、あくまでも自社で展開していたサービスなのにも関わらずその言い方はどうかと思います。

ちなみにですが、具体的な数値の発表はありませんが「解約数は新プラン発表直後、6/29、30をピークに減少傾向」としています。ただ、これはポイント還元で実質無料であることから使い続けているユーザーも一定数は存在すると考えられ、その還元施策が終わるタイミングでは何らかの動きがあると推測できます。

営業成績は改善傾向だが…

単純な数値を見る

こちらがここ最近の楽天モバイルの営業成績です。売上高は約846億円、費用は約2,088億円です。凄まじい。

これまで、売上高以上に膨らみ続けてきた営業損失ですが、今回の決算においてついに減少になりました。しかしながら、額に表せばこの赤字額は驚異の1,242億円。楽天グループが赤字の最大の要因であることは隠しようのない事実であり、これが黒字転換するまでにとてつもない時間がかかることも容易に予想できます。

楽天グループの連結営業成績

他のセグメントの利益すべてが吹き飛ぶほどの赤字。これを2年近く維持できる楽天グループの経営基盤の強さは尊敬に値します。

なぜ初の改善になった?

では、なぜ今回の決算にて同社の営業利益は上向き始めたのでしょうか。

この理由はかなりシンプルなもので、『0円ユーザーが減った』『パートナー回線のローミング費用が減った』この二つにあると考えられます。

前者はこれまでお伝えしてきた1年無料や1GB以下無料プランの終了です。直接的にお金を落とさないユーザーは売り上げになりませんから、これが無くなるというのは大きな改善につながります。今後もユーザー数の大幅な減少が無い限りは改善し続けることが可能なのではないでしょうか。

二つ目のローミング費用減少は、楽天モバイル回線エリアの拡大によって達成できるものです。これまでエリア外ではauの回線を借りていましたが、これにはかなり大きな費用が掛かっていたことが推測できます。これも楽天エリアの拡大とともに必然的に解決できる問題でしたので、今後もある程度は削減できるでしょう。

更に、設備投資の額が202年をピークに減少し始めるとのことで、これも大きく改善につながりそうです。

プラチナバンドの獲得がカギ

これまで、楽天モバイルの収益性の改善がみられていることとその理由を紹介しましたが、投資や費用的な面を圧縮することができても、これからの通信品質次第では売上高の向上という点で頭打ちしてしまうのではないかと筆者は懸念しています。

バンド3のみでは限界がある

この理由として、現在同社の使用しているLTEバンドは『3』のみです。他社が4つ以上のバンドを提供し、地域と条件によって使用バンドを変更することで山間部や密集エリアでも最適な通信品質を実現しているのに対して、楽天モバイルはどこでも、どんな場所でも1つのバンドしか使うことができません。現在使用されている「バンド3」は、提供エリアが狭いのが特徴で、各地にアンテナを設置することでカバーしている状況にあります。しかしながら、実体験として地下鉄や商業地域、混雑地域での通信品質は非常に悪いと感じています。(夕方時間帯の上野駅で0.5Mbps程度しか出ませんでした)

同社は通信品質が世界的に高いことを強みとしていますが、残念ながら私個人の感想としては他3キャリアに遠く及びません。MVNO≦楽天モバイル<<<3大キャリア くらいです。

いくら基地局が増えても、ユーザーの増加などで通信品質は微妙になりつつあると感じています。また、あまり人がいない山間部に大量の基地局を設置するのも効率が悪いですが、それをしないとパートナー回線に頼るしかない状況です。

プラチナバンドがないときつい

このような状況を打開するためには、新しいバンドの割り当てを総務省から受ける他無いというのが楽天モバイルの考えです。これは上記の理由を考えれば至極当然のことでしょう。これで仮にプラチナバンドを使用できるようになった場合、1つの基地局で広い範囲かつ建物の中などの入り組んだ場所でもカバーできるようになり、大幅な通信品質改善に繋がります。

他キャリアが納得する再分配は非常に難しい

しかしながら、日本の使用しているプラチナバンドはほぼすべて3大キャリアに振り分けられてしまっており、楽天モバイルがプラチナバンドを使用するためにはこの他キャリアからバンドを譲り受ける必要があります。これは他キャリアにとってのメリットは何もないです。こうなると、この行く先はバンドの割り当てを行う国次第であり、現状としては非常に厳しい状況であることが推測できます。

携帯電波、大手独占是正へ 「プラチナバンド」再配分も|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)

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