『LIFEBOOK AH77/D3』実機レビュー。AHの2019年モデルです【今更】
今回は初の15.6インチノートパソコンのレビューになります。なぜ今更といった感じですが、某家電量販店で激安で販売されていたため、つい購入してしまいました。
機種名は『LIFEBOOK AH77/D3』で、富士通(FUJITSU)から2019年に発売された、当時の量販店向け上位クラスのノートパソコンでもあります。
2021年モデルとしては『AH53/F3』が発売されています。数字の後のアルファベットの違いが年度の見分け方で、2020年モデルは『AH○○/E3』、今後発売されるであろう2022年モデルは『AH53/G3』といった形になります。ちなみにですが、2021年モデルでは『AH77』の設定はありません。
ゲーミングノートPCなどでの採用例も多い第9世代Core-Hプロセッサを搭載しているのが特徴で、TDPが最大45Wになる代わりに最大級の6コア最大4.5GHzという「Core i7-9750H」を搭載しています。
また、キーボードが非常に打ちやすく、キーストロークはノートパソコンでは最大級の2.5mmです。
スペックシート
以下にスペック構成を掲載します。
このモデルには「カスタマイズモデル」と「カタログモデル」があり、カスタマイズモデルとカタログ最上位モデルでは4K有機ELを選択することができます。
今回レビューした機種は『AH77/D3』です。下位モデルも一緒に掲載します。
カタログモデル | AH77/D3 | AH53/D3 | AH42/D3 |
---|---|---|---|
型番 | FMVA77D3B FMVA77D3W FMVA77D3L | FMVA53D3B FMVA53D3W FMVA53D3R | FMVA42D3B FMVA42D3W |
OS | Windows 10 Home | ||
CPU | Core i7-9750H | Core i7-8565U | Celeron 4205U |
GPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 620 | Intel UHD Graphics 610 |
メモリ | 8GB (4GB×2) DDR4-2666 | 4GB (4GB×1) DDR4-2133 | |
ストレージ① | PCIe MVNe SSD 256GB | PCIe MVNe SSD 512GB | PCIe MVNe SSD 256GB |
ストレージ② | SATA HDD 1TB | 無し | |
ディスプレイ | 15.6インチ 高輝度・高色純度・広視野角 LCD (スーパーファイン液晶) 1920×1080 | 15.6インチ LCD (スーパーファイン液晶) 1366×768 | |
ディスクドライブ | BDXL対応Blu-ray Discドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | |
スピーカー マイク | ステレオスピーカー クアッドマイク | ||
Webカメラ | 約207万画素 FHD Windows Hello対応 | 約92万画素 HD | |
キーボード | プリズムクリア 日本語キーボード テンキー付き バックライト無し | ||
ワイヤレス機能 | Bluetooth 5.0 802.11a/b/g/n/ac (Wi-Fi 5) | ||
I/O端子 | USB 3.1 Gne2(Type-C)×1 USB 3.0 ×2 USB 2.0 ×1 LAN端子(RJ45) HDMI×1 SDスロット 3.5mmジャック | USB 3.1 Gne1(Type-C)×1 USB 3.0 ×2 USB 2.0 ×1 LAN端子(RJ45) HDMI×1 SDスロット | |
LAN端子仕様 (RJ45) | 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T準拠 | ||
バッテリー容量 | 45Wh | ||
バッテリー駆動時間 JETA2.0 | 6時間 | 6.5時間 | 8時間 |
サイズ | 361×244×27mm | ||
重量 | 約2.1kg | 約2.0kg | |
カラー | ブライトブラック プレミアムホワイト メタリックブルー | ブライトブラック プレミアムホワイト ガーネットレッド | ブライトブラック プレミアムホワイト |
デザイン&ディスプレイ
寸法は361×244×27mmです。スタンダード15.6インチノートPCより一回り程度小さいですが、厚みはそれなりにあります。
ベゼルは左右上下ともにかなり狭くスタイリッシュで、これに慣れると過去のこのサイズ帯のノートパソコンが古臭く感じてきそうです。ベゼルが狭いことにより本体サイズも15.6インチでは最小クラスです。最上位モデルに搭載されている有機ELディスプレイでは、画面のふちの段差がなく、ベゼルと一体化したデザインになっています。
また、VAIOシリーズをはじめとして最近のモバイルPCにおいて採用例が多い、リフトアップのヒンジを採用しており、吸気において有利かつパームレストに角度がついてキーボードの打ちやすさに貢献しています。個人的にはリフトアップヒンジは下部ベゼルが隠れることもあってデザイン的にも好きです。
ディスプレイの最大開閉角度は約140°です。
今回のモデルでは15.6インチFHD液晶ディスプレイを搭載しています。光沢タイプで、「LEDバックライト付高輝度・高色純度・広視野角 TFTカラーLCD(スーパーファイン液晶)」とあることからIPS液晶でであると思われます。
キーボード
さすが富士通、トップクラスに打ちやすいキーボード
テンキー付きのフルサイズキーボードを搭載しています。横幅ぎりぎりまで配置されており、デザイン的にもかっこいいです。また、LIFEBOOKシリーズらしい考えられたキー配置であり、特に矢印キー周辺の『Fライン』が特徴です。多くの会社はこの矢印キーを小型化して左側のキーサイズと同じに収めるのですが、この会社はこのように独立させることで打ち間違えの防止に貢献しています。また、下部が透明の『プリズムクリアキー』を採用しており、これも富士通らしいデザイン的な特徴と言えます。
キーピッチは横18.5mmを確保しており、キーストロークは2.5mmあります。このキーストロークはパンタグラフ式のキーを採用しているノートパソコンとしては最大クラスで、私がデスクトップパソコンで現在使用している「Surface キーボード」よりも深いです。また、LIFEBOOKらしい特徴として、キーの重さを指の力に合わせて調整した「3段押下圧キー」によって快適にキーボードが打てる工夫がされています。
キーボードだけでここまで特徴を書けるほど、多くの工夫がされており打ち心地が良いです。実際にこの文章はこの機種を使用して作成していますが、とても快適でタイプミスも少なく感じます。
タッチパッドも大型で感度良し
横約10.2cm、縦約5.7mmのタッチパッドを搭載しています。富士通らしいポイントとして、左右のクリックパッドが独立しており誤操作を防ぎやすくなっています。当然、タッチパッドで操作を代替することも可能です。
Windowsの高精細ジェスチャーにも対応しており、使用感としては非常に快適です。
スピーカー
スピーカーはキーボード上部にステレオで配置されています。中央には電源とショートカットボタンが配置されています。
AH77/D3では「Onkyo Speakers Installed」のスピーカーを採用しています。(下位モデルでは違う)ちなみにですが、2021年のモデルでは全構成でONKYOコラボレーションが無くなっています。
肝心の音質ですが、ノートパソコンの中ではハイレベルで、低音から高音までバランス良く聞こえます。本体底にスピーカーがついているモバイルPCと比較するまでもなく高音質ですが、さすがに外付けのスピーカーなどと同等という訳ではありません。音量も十分大きく、音割れする心配はありません。
端子類
USB2.0×1、USB3.0×2、USB3.1Gen2(Type-C)×1、HDMI×1、SD、3.5mm、LANが配置されています。
モバイル充電にも対応
ホームノートPCとしては標準的ですが、Type-C端子はデータ転送のみで、映像出力(DP Altmode)やUSBPDには対応していません。そのため、充電は必然的にDC端子からになります。PDに対応している何かと便利なので、Type-Cから充電できると嬉しかったです。また、thunderboltには非対応なので外付けGPUなどを使用することもできません。ゲーミングでの使用は難しいと思います。
Blu-rayドライブ搭載
ブルーレイドライブが搭載されており、BDXLに対応しています。(最下位モデルではDVDドライブ)
SDスロットのスピード計測
SDカードスロットはフルサイズで、完全に収納されず飛び出した状態になります。「CrystalDiskMark」を使用し、UHS-ⅡのSDカードで計測してみました。
速度的にUHS-Ⅱに対応していないことがわかります。UHS-Ⅰとしてみた場合、速度は普通です。書き込みが遅く感じますが、写真の取り込みであれば十分使用できる速度だと思います。
パフォーマンス&ストレージ
CPU
2019年発売のノートPCとしては最上位クラスの「Core i7-9750H」を搭載しています。
第9世代Coreは「CoffeeLake Refresh」というマイクロアーキテクチャで、Uシリーズの9000番台CPUは展開されていないことからノートPC向けとしてはこのHシリーズが唯一になります。
グラフィックは内臓の「Intel UHD graphics 630」です。「Xe」発表以前のものなの、であまり性能は高くありません。
6コア/12スレッドで、最大4.5GHzです。
Cinebench R23スコア
Core i7-9750H | Core i7-1165G7 | Core i7-1165G7 | |
---|---|---|---|
TDP | 45W | 15W | 28W |
シングルコア | 1069 | 1382 | 1532 |
マルチコア | 3570 | 3769 | 4904 |
11世代Uシリーズの最上位モデル「Core i7-1165G7」(4コア/8スレッド)と比較すると、シングルコア性能では劣っていますが、マルチコア性能ではほぼ同等です(15Wの場合)。ただし、これはTDPが大きく違うUシリーズとHシリーズの比較かつ、28Wの場合はかなり差がつけられており、ワットパフォーマンスを考えると圧倒的に第11世代CPUが優位です。
Passmarkスコア
比較してみました。
あくまでも目安ではありますが、TDPが高いだけあって2年落ちでも健闘しています。
メモリ
メモリは8GB(4GB×2)のデュアルチャンネルで、DDR4-2666です。私のモデルではSamsung製のものが搭載されていました。
カスタマイズモデルでは最大32GBまで選択可能です。(量販店モデルでは8GBまで)裏蓋から簡単に換装可能なので、自身で増設してもよいと思います。
ストレージ
ストレージは256GB(SSD)と1TB(HDD)のデュアル構成で、SSDにはMVNeタイプのものが搭載されています。こちらも蓋を開ければ換装可能ですが、HDDスロットに関してはメモリのように簡単に開けられるようになっているわけではないので自己責任でお願いします。
サイズは2280
CrystalDiskMarkにてSSDの速度を計測してみました。
十分早い速度です。最近はPCle Gen4のSSDを搭載した機種も増えていますが、Gen3の速度で必要十分だなと私は思います。
まとめ
デュアルストレージは便利
M.2スロットと2.5インチSATAスロットにストレージがそれぞれ搭載されているため、拡張性はそれなりにあります。今回紹介したモデルのストレージ容量は「SSD256GB & HDD 1TB」なので写真の取り込みなどにも使用できそうです。もしもの時のバックアップという意味でも便利かもしれません。
最高レベルに打ちやすいキーボード
キーピッチ2.5mm、「3段押下圧キー」、リフトアップキーボードなど、文字入力の快適性は素晴らしいです。量販店向けモデルではキーボードバックライトはついていません。
バッテリー持続時間は短い
これは高いTDPのCPUを搭載しているパソコンの宿命かもしれません。仕様上の駆動時間は6時間で、実使用では4時間程度です。15.6インチノートPCは基本的に家で使用することを想定していると思われるので、あまり気にならないとは思いますが、それを考慮したうえでも他モデルの2/3程度の持続時間です。
高負荷時のファン音が大きめ
こちらも高いTDPのCPUを搭載しているパソコンの宿命かもしれませんが、高負荷時のファン音が比較的大きい印象です。TDP15Wの第11世代CPU搭載モデルなどではもう少し静かだと思われます。
この点は電源プラン設定からある程度の対処が可能です。
「コントロールパネル」→「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」→「プロセッサの電源管理」からプロセッサの状態や冷却ポリシーを変更することができます。ここで最大のプロセッサの状態を変更することで性能が落ちますが省電力化と静音化ができます。