「OneMix4」レビュー。詰めが甘い点がみられるも、このサイズ感は唯一無二。
前々から小型ノートPCを探しつつ、仕方なくSurface Go2を利用していた筆者ですが、ついに大本命PCを購入してしまいました。有名UMPCメーカー「One-Notebook」が2021年初頭に発表、発売した「OneMix 4」になります。ちなみに、2022年一発目の記事になります。明けましておめでとうございます。
画面サイズは10.1インチで、UMPCとは言い難いサイズ感ではありますが、この10インチクラスのノートパソコンってほどんど存在しないのですよね(需要もないのでしょうか)。「Lets’Note RZシリーズ」などが10インチクラスではありますが、ベゼルが太い、デザインが古い&性能が古い(今更第8世代CPUかつYシリーズ)など、少し微妙な印象でした。
そんな中、風穴を開けるように登場したのがOneMi 4です、10インチ台としては最小のフットプリント、第11世代4コアCPU搭載、thunderbolt4等々、現代のフルスペックを小型ボディに凝縮したモンスターマシンが出てしまいました。これからじっくりとレビューしていきます。
スペック
今回購入したのは、現状最小構成となる「Core i5/8GB/256GB」の英語キーボードモデルになります。私はメインPCとしてデスクトップPCと「VAIO SX12」を所有していのるで、あまり盛り盛りスペックは求めいないことからこれに落ち着きました。キーボードは英語を選びましたが、日本語キーの場合、「backspaceキー」の位置が変則的なこと(1TBのモデルでは変更されているらしい)、不足するキーが増えてくるなどの問題があることが理由になります。
MiniBook X | OneMix 4 | |
---|---|---|
OS | Windows10 | Windows10 |
CPU | Celeron N5100 | Core i5-1130G7 |
メモリ | 12GB LPDDR4X | 8/16GB LPDDR4X |
ストレージ | 512GB SSD (SATAの可能性) | 256/512GB/1TB MVNe SSD |
ディスプレイ | 10.8インチ 2560×1600 sRBG 100% 画面占有率90% | 10.1インチ 2560×1600 sRBG 100% 画面占有率90% |
キーボード | 英字配列 | 日本語配列選択可 バックライト |
タッチペン | 4096段階 | 2048段階 Surfaceシリーズと同じ形式 |
スピーカー | 不明 | モノラル |
カメラ | インカメラ 500万画素 | 無し |
ネットワーク | WiFi Bluetooth バージョン不明 | WiFi6 Bluetooth5.0 |
インターフェース | Type-C×2 イヤホン端子 (商品画像から推測) | Type-C USB3.0×1 Type-C USB4.0×2 microSD イヤホン端子 |
充電性能 | Type-C USBPD 最大40W | Type-C USBPD 最大60W |
生体認証 | 不明 | 指紋認証 |
サイズ | 244×166.4×11~17.2mm | 227×157.3×9~17mm |
重量 | 899g | 769g |
スペックシートはCHUWIから発売が予告されている「MiniBook X」との比較になります。
デザイン
外箱~付属品
Amazonで購入しましたが、まずは箱のサイズの小ささに驚きました。
外箱の縦横サイズ、11インチクラスのノートパソコンとほとんど変わりません。
箱は2重になっています。
開封していくと、PC本体が見え、その下に充電器、取扱説明書等が封入されています。充電器の性能は「5V3A、9V3A、12V3A、15V3A、20V2.25A」で、PD対応かつ最大45Wであることが推測されます。
本体
当然ブラックカラーですが、外箱にはダークネイビーと記載されています。印刷くらい変えたらいいのでは? 誤解を招きかねないのではと思います。
いやあ、かっこいいですね。私が夢見たコンパクトモバイルノートパソコンの完成形といった感じです。無駄を省いた機能美的なデザインで、見た目的にこれといった特徴はないかもしれませんが、このサイズ感こそが最大の特徴ともいえるでしょう。
天板です。「One-Notebook」のロゴが配置されているのみになります。このボディ、かなり指紋がつきやすい上落ちにくいですね。
側面です。左側に充電対応のUSB4.0×2・microSDスロットと、右側に充電非対応のUSB3.0×1・指紋センサー兼電源ボタン、3.5mmジャックがあります。当然ながらUSBは全てType-Cで、USB4.0はthunderbolt4を内包していることから、やろうと思えば外付けのグラフィックボードなどを接続することも可能です。
背面にはCPUファンの吸気口、スピーカー(モノラル)、CPUシールがあります。
サイズ感
横幅は23cm、縦は16cmほどです。縦幅に至ってはiPhone12シリーズ等の最近のスマートフォンとほぼ同じサイズ感なんですよね。
右にSurface Go2を並べて比較してみました。どちらも10インチ台ではありますが、OneMix4の小ささが際立ちます。
キーボード
コンパクトノートパソコンを使う上で非常にシビアな点がキーボードです。
キーピッチを小さくすれば基本的なキーを詰め込むことはできますが、小さすぎて打ちづらいという問題も生じますし、逆にキーピッチを確保しようとすれば横幅やキーそのものの数(特にJISキー)が足りなくなるという、とってもデリケートな部分ではあります。
OneMix4では、キーピッチを18.5mmというほぼ一般的なノートパソコンと同じ幅のものをこのボディに詰め込んでいます。
VAIO SX12のキーボードと比較してみると、「P」「L」の右横2列ほどのキーが消滅し、数字キーが小型化されているのが目立ちます。10.1インチのボディに収めるための苦肉の策と言えます。
また、大抵のノートパソコンはPC中央~左側にホームポジション(FとJの真ん中)があるのに対して、この機種では中央から右側にずれている点は気になります。このせいなのかはわかりませんが、「P」を打つつもりで「O」を打ってしまうなんていうことがあります。
キーストロークが浅いパチパチ系ではありますが、キーの押し心地自体はそれなりに良好ですね。いずれにせよ、キー配置やポジションに慣れるまでには時間がかかりそうです。
Surface Goシリーズのキーボードと並べてみました。気づいた点として、キーピッチの違い(Surface Goは16.5mm)は大きくあるものの、キー全体の高さ自体はほぼ同じなんですよね。とっても窮屈な印象がありますが、キーピッチをもう少し狭める&キー自体のサイズを小型化すれば数字キーを大幅に小型化することなく搭載できたのではないかとも思いますし、横にもう少しキーを配置できたのではないのかなとも思います。
個人的には配列の問題を無視してもSurface Goのほうが打ちやすい印象ですが、慣れの問題でしょうとできる限りポジティブに考えたいと思います。
追記:4日ほど使用しているうちに結構慣れてきました。はじめは手の位置がどうしてもホームポジションより左によってしまっていたのですが、少し右にずらすことに慣れることで問題なく打てるようになって来ました。
キーボードバックライトも点灯させることができます。Y,U,H,Nあたりが暗く感じる点はありますが、認識性には問題ありません。
タッチパッド
本体ギリギリまでタッチパッドが広げられており、十分なサイズ感です。
縦幅は約4.7cm、横幅は約9cmです。
触り心地としては非常にスルスルとしていて良好かつ高感度です。もちろんWindows10以降のマルチタッチジェスチャーにも対応しています。しかしながら、ボディと同様指紋が目立ちやすく落ちくいですね。
ディスプレイ
10.1型、2560×1600という、SurfaceProシリーズなどに近い解像度をこの画面サイズに詰め込んでいます。
小画面高解像度ディスプレイの宿命ではあるのですが、最近のノートパソコンと比較して最大輝度は低めな印象です。
このディスプレイ、リフレッシュレートが50Hzです。なかなか珍しい気がします。
ちなみに、スタイラスペンにも対応しており、2048段階の筆圧感知機能が搭載されています。方式は最近のSurfaceシリーズと同じタイプなので、SurfacePenはもちろんのこと、その他のSurfaceシリーズ互換ペンでも利用できます。
スペック・性能
CPU
CPU | Core i5‐1130G7 |
コア/スレッド | 4/8 |
クロック数 | 1.1/4.0GHz |
L3キャッシュ | 8MB |
TDP | 15W (メーカーごとに変更可能) |
CPUはIntelの第11世代CPU「Tiger Lake」、4コア8スレッド、最大周波数4GHzの「Core i5-1130G7」を搭載しています。
PassmarkによるCPUテスト結果です。スコアは「6927」と、Passmark平均の「10000前後」と比較すると大幅に低いスコアになっています。周波数がかなり抑えられいる印象があり、周波数3GHz程度から上がることはほとんどありません。TDPも低めに設定されているのでしょう。とはいえ、10インチ台ノートパソコンでこのスコアに勝てるのはOnemix4の上位モデルだけでしょう。
高負荷時ではCPUファンもそれなりに回転し、高めの音が耳に入ります。「Fn+Tab」キーでファン回転速度を全開にすることもできますが、ノートパソコンの中ではかなり大きめのファン音がなりますので注意が必要です。図書館などではかなり目立ってしまうでしょう。
ストレージ
PCI-Express接続、2282サイズのM.2SSDを搭載しています。型番は「NE-256」という聞きなれないもので、検索をかけてみるとAmazonなどの販売ページにて「KingSpec」というブランド(メーカー)のものが出てきます。あまり聞き慣れないですが、同ブランドSSDのレビュー記事などはある程度存在するので、全くの無名メーカーというわけではなさそうです。しかしながら、ある程度の価格のPCなので有名ブランドのものを搭載してくれてもなと思います。
というか、商品写真がSATAにしか見えない。
パーティションはCドライブとDドライブに分割されています。WindowsはCドライブに入れ、データをDドライブに入れてという分割した使い方が必要になりますが、ドキュメントやダウンロードなどといったデフォルトの格納場所はCドライブのままになっているので、自身で変更が必要になります。統合したほうが楽かもしれません。
「Crystal DiskMark」を利用してのスピードテストテストの結果です。
PCIe3.0の中では比較的控え目な速度ですが必要十分でもあります。
SDスロット
右側面にmicroSDカードスロットがあります。でっぱりはほとんど無く、すっきりと収まります。
再びClystalDiskMarkで速度を計測してみました。
遅いですね。軽いデータが転送できればいいというレベルのものになります。
差し込んでいるカードはUHS‐Ⅰ接続、最大100MB/sのものなのですが、半分も出ません。USB2.0接続のSDスロット並みの速度です。当然のことではありますが、UHS‐ⅡのSDカードでも同様の結果です。
ネットワーク
WiFi/BluetoothモジュールはIntelのM.2接続、「AX201」です。WiFi 6、最大通信速度は2401Mbpsです。Bluetoothバージョンは5です。WiFi6対応のノートパソコン用モジュールはこのAX201の採用例が非常に多く、安心と信頼のモジュールと言えそうです。
Windows11非対応(対応予定)
現時点ではTPM2.0 非対応のため、Windows11をWindowsアップデートという形でインストールして使用することはできません。公式リリース(2021年6月時点)では、今後対応パッチを提供予定とのことことです。具体的な予定日等は記載されていませんが、続報に期待したいところです。
その他
Webカメラは非搭載
ベゼルの狭小化の代償として非搭載になります。
プライバシーが保たれますが、ZoomやTeams等のオンラインミーティングには向いていませんね。
バッテリー持ちは普通~少な目
10,000mAhのバッテリーが搭載されています。このサイズ感ではこれがいっぱいいっぱいでしょう。
公称の連続使用時間は8時間(動画再生)ということで、実際に6時間くらいの動画再生は可能な減り方ではあります。しかしながら、動画再生+○○というようにほかの作業が平行すると一気にバッテリーが減っていく印象です。USB PDで充電できるので私はあまり気にしていません。
タッチパッド、画面回転は自動でオフになりません
このパソコン、もちろん2in1なので画面を回転させてタブレット端末のように使用することも可能なのですが、タッチパッド、画面向き変更は自動でオン・オフになりません。キーボードは流石に無効化されます。
要するに、画面を反転させたときは「Fn+F6」でタッチパッドをオフにし、右下のクイック設定から「画面ロック」を切り替える必要があります。
この2in1では必ずと言っていいほど基本的な機能がついてないという、非常に残念なポイントです。CHUWIなどの中華メーカーでもある機能ですよ?
まとめ
良い点
- 完璧なサイズ感
- かっこいい
- 高解像度ディスプレイ
- 使いやすいタッチパッド
- それなりの処理性能
- ポート類が便利
改善点
- 指紋がつきやすい
- 2in1関連機能が微妙
- SDカードスロットが遅い
使用しているSSDのスペックやメモリの周波数など、単純なスペックに対する価格は安いとは言えず、コストパフォーマンスが良いというようなモデルではないです。また、改善点などに上げた仕様など、今後のモデルで改善が求められる点もそれなりあります。
しかしながら、このパソコンの最大のメリットは「サイズ感」であり、多少のことなら目をつぶってもいいかなと思います。このサイズ感でできる限りの機能を詰め込んだ理想的な小型ラップトップとも言え、ネットブックの最終進化系ともいえます。今のところこれ以外に近い性能を持ったパソコンは存在しないです。
Onemix5以降もこのサイズ感で続けていってほしいなと思うので皆様ぜひ購入してください!このサイズの需要が増えることで、競合製品も続々と出てくる未来を楽しみに待ちたいところです。