UI(ユーザーインターフェース)デザインから見る、windowsの歴史【XP~7】
Windows 10が発表されてから早4年も経過しました。2020年の1月にはWindows7の延長サポートも終了することになっており、同年2月以降に一般デスクトップ向けのWindowsOSとしてサポートが継続されてる予定されているOSは「Windows10」と「windows8.1」のみになります。
また、Microsoftのデベロッパー・エバンジェリストはWindows10を「Windows最後のOSになる」としており、Windows10 「1909」「1703」のように同じOS内でのアップデートと保守を続けていくとしています。実際に2015年のリリースから4年半以上の間、半年ごとにWindows10へのアップデートを続けていることから、今後の予想としてWindows11や12などといったOSがリリースされる可能性は限りなく低いのではないかと思います。
ただし、派生的なOSとして、「Windows 10S」「Windows 10X」などをリリースしていますが、基本的なシステムはWindows10と同じものです。
・Windows OSの判別点としてのUIデザイン
Winows OSのバージョンの違いを判別するときの材料となる物としては「UI(ユーザーインターフェース)」の違いでしょう。例えば下の画像、少しでもwindowsのパソコンを使ったことがある人にとっては一瞬でこれがどのOSであるかが分かるはずです。
Windowsに限らずモバイル、PC、ゲーム機などのOSはそれぞれの時代の流れに則ったユーザーインターフェースデザインを提供、または「フラットデザイン」Googleがandroid OSを通じて広めた「マテリアルデザイン」のようにその時代の主流となるデザインを作ります。
今回はWindowsのUIデザインの流れについて解説します。
・Windows XP 「Luna」
WindowsXPは2001年の10月にWindows2000、WindowsMeの後継として発売されました。2003年にはメインストリーム向けとして初となる64bitバージョンも発売されました。約7年後の2008年に一部のネットブック機を除いて出荷が終了しました。
サポートは2014年に終了していますが、終了から5年経過した2019年現在の日本国内でのOSシェアでは、約1.5%となっています。また、業務用の組込み機器などでもXPが利用されている事が多くあり、時たまにXPのスタート画面やブルースクリーンの画面を見ることもあるそうです。
・特徴
今までのWindowsとの大きな変化点としては、「テーマ(ビジュアルスタイル)」機能を搭載したということです。標準としては「Windows XPスタイル(Luna)」というデザインになっています。特徴としては、ウィンドウのデザインから「スタートメニュー」、「コントロールパネル」など、グラフィカルで直感的なインターフェイスに進化しました。
さらに、ビジュアルスタイルを自身で変更できるようになりました。基本的にはマイクロソフトが用意したテーマのみになりますが、一般ユーザーやサードパーティが作成したテーマも利用することができます。
また、処理能力が低いマシンや前の操作性が良いというユーザー向けにWindows2000以前のスタイルに戻すことも可能です。
比較してみてみると、圧倒的知名度を誇る壁紙やグラデーションをつけたステータスバーなど、親しみのあるデザインになったなと感じます。また、文字表示にアンチエイリアシングを発展させたClearTypeを使用することで滑らかに表示することができるようになっています。
・Windows Vista 「Aero」
windows Vistaは2006年に発売されたOSです。開発時のコードネームはLonghorn(ロングホーン)で、2017年の4月に延長サポートが終了しました。
本来はWindows XPのマイナーアップデート版として2004年までにリリースする予定でしたが、2002年ごろに計画が変更され、2003年に急遽今まで開発していたものをリセットして「Windows Server 2003」をベースに新しく作り直されたものになります。当初の名前候補として、「Windows 7」「Windows seven」などがありましたが、最終的に「Vista」になりました。
・特徴
XPの「Luna」を置き換える形で、「Windows Aero」と呼ばれるUIのテーマデザインを採用しています。
3Dグラフィック使用し、GPUを利用することから処理能力の低いマシンではパフォーマンスが落ちる傾向にあり、最低スペック構成は以下のようになっており、XPと比較して大幅に基準が引き上げられています。
Windows Vista Capable | Windows Vista Premium Ready | windows XP | |
---|---|---|---|
CPUクロック速度 | 800MHz | 1GHz | 300MHz |
メモリ | 512MB以上 | 1GB以上 | 128MB以上 |
グラフィック | DirectX 9 対応 | DirectX 9 対応 WDDM 対応 VRAM 128MB 以上 32ビット以上の色深度 | |
ハードディスク容量 | 20GB以上(空き容量15GB以上) | 40GB以上(空き容量15GB以上) | 1.5GB以上 |
その他 | SuperVGA(800×600)以上モニタ |
・解説
Windows Vista Capable | Vistaが稼働する最低限の仕様であり、Vista Homeや、Aero効果などを無効にしたVistaを利用するためのもの |
Windows Vista Premium Ready | Vista Homeや、Aero効果など、Vistaの機能を十分に利用できるであろう条件 |
リリースされた当時、 日本国内のパソコンは「Windows Vista Premium Ready」を満たしていないスペックの低い製品が多かったことから「Vista」のパソコンは(処理が)重いといわれる遠因とも考えれます。
2006年当時発売されていたNECのノートパソコンを例に出して比較すると以下のスペックにります。
このノートパソコンは Windows Vistaを動作させるためのハードウェア要件を満たすPCの証である 「Windows Vista Capable 」というのようなシールが貼り付けられていました。
NEC LaVie L アドバンスド LL700/FD | Windows Vista Premium Ready | |
---|---|---|
CPUクロック速度 | Celeron M380 (1.6GHz) | 1GHz |
メモリ | 512MB(標準) | 1GB以上 |
グラフィック | Radeon Xpress 200M DirectX 9 対応 標準64MB | DirectX 9 対応 ハードウェアによるピクセルシェーダー 2.0対応 WDDM 対応 VRAM 128MB 以上 32ビット以上の色深度 |
ハードディスク容量 | 100GB | 40GB以上(空き容量15GB以上) |
その他 | 15型 [XGA(最大1,024×768ドット表示)] | SuperVGA(800×600)以上の高解像度ビデオアダプタおよびモニタ |
このパソコンのスペックで「Aero」などのグラフィック機能を使用するのは難しかったのではないでしょうか。当時のサイトや掲示板にもAeroの先進性を評価する一方、その重さや広報互換性などに批判が多々見られました。OSの問題というよりもハードウェアのスペックが追い付いていなかったという感じだったのだろうと思います。
・Windows 7
windows 7は2009年に発売されたOSです。Vistaを基盤として後継OSとして開発されました。約11年が経過したの2020年の1月に延長サポートが終了する予定です。バージョン名は「7」となっていますが、実際の内部的なバージョンはvistaの改良版であることから「6.1」となっています。
・特徴
基本的なデザインはvista時代の「Aero」テーマを継承しています。一目でわかる変更点としては、OSの初期のカラーがグリーン系からブルー系になっています。また、タスクバーもAeroが適用されるようになり、半透明のものになったことから統一感が増し、デザインがスッキリとしたようにも感じられます。
6つのエディションが用意されています。そのうち最下位モデルである「starter」エディションは、ネットブックなどの低スペックマシン向けにAeroテーマの非対応や壁紙の変更不可、32ビット版のみの提供など、最小限の機能のみを有するエディションでした。
また、現在ではおなじみの機能として「Aero Snap」というデスクトップの端にウィンドウを移動することでウィンドウをリサイズする機能や、「Aero Shake」というウィンドウを振ることで非アクティブ ウィンドウすべての最小化と行う機能が追加されています。
Windows Vista Capable | Windows Vista Premium Ready | Windows 7 | |
---|---|---|---|
CPUクロック速度 | 800MHz | 1GHz | 1GHz |
メモリ | 512MB以上 | 1GB以上 | 1GB以上 |
グラフィック | DirectX 9 対応 | DirectX 9 対応 | DirectX 9 対応 |
ハードディスク容量 | 20GB以上(空き容量15GB以上) | 40GB以上(空き容量15GB以上) | 空き容量15GB以上 |
最低動作環境は「Windows Vista Premium Ready 」とほとんど同一です。2006年当時は高スペックで重いと思われていたVistaの動作環境も、3年が経過した2009年には一般的なスペックとなりました。OSにスペックが追いついたということでしょうか。
現在でも多くの人が使い慣れた親しみのあるユーザーインターフェースなのではないでしょうか。この親しみやすさや、後に発売されたWindows8などと比較して、このOSは完成系であるという人も多少なりともいるそうです。
Windows 7は2019年現在でも日本国内で20%ほどのシェアを保っており、Windows10が登場してから2年間が経過するあたりまではシェア率でトップを保ち続けていたOSでした。