SDカードの規格による転送速度の違いを検証。規格も解説。

形は同じでも様々な規格が存在するSDカード。意外に奥が深いこのメモリの規格による転送速度の違いを検証してみました。

そもそも…大きく4つほどの規格が存在

SDカードにはサイズのほかに容量に関する規格が一つ、スピードに関する規格が5つ存在します。今回は現在多く利用されている規格について解説していきます。

東芝のSDカードの例

サイズ規格とは別に大雑把ににまとめると、上の画像の赤い枠で囲われている部分が「転送速度」に関わる規格、青で囲われている部分が「容量」に関わる規格になります。

サイズ

誰もが知っている規格としてはサイズですが、実は三種類サイズがあります。

  • SD
  • Mini SD
  • micro SD

上と下のSDカードは今でも主流ですが、真ん中のMiniSDは最近ではほとんど見ることが無くなりました。2006年頃まで日本の携帯電話などで利用されていたのですが、microSDから変換して利用できることや、小型化の影響から急速に姿を消していきました。

MiniSD

容量

SDHCの例

SDカードは容量ごとに規格が存在します。

容量規格
~2GBSD
4GB~32GBSDHC
64GB~1TBSDXC
~12TBSDUC

SDXCまではご存知な人が多いと思います。SDUCは2018年に策定された規格で、最大12TBまでに対応するとのことです。現在一般的に発売されている容量は最大1TBなので、SDUCのカードを見るのはしばらく後になりそうです。

また、使用機器によっては使用できる規格が定められているものがあります。(ドライブレコーダーや安いカメラなど) 「SDHCに対応」とだけ記載されていた場合は「32GB」のSDカードまでということになります。

最大転送速度(UHS)

SDカードの設計上転送できる理論最大速度を表します。必ずしもここで表した速度が実際に出るわけではなく、実際の速度は後述する「スピードクラス」等によって最終的に決定づけられます。

UHS-Ⅰの例

大雑把にはUHS-ⅠとUHS-Ⅱの2種類の規格が存在し、理論上の最大転送速度を示します。

UHS-Ⅰ(左)、UHS-Ⅱ(右)、ピンが増設されている。

画像の通り、通常の接点の下部に更に接点が追加されており、双方がUHS-Ⅱに対応することで高速転送が可能になります。上部の端子自体の形は同じなので後方互換性を持ちます。主にカメラでの利用機会が多いです。

規格最大転送速度(規格上。他の規格と兼ねあう)
UHS-Ⅰ最大104MB/s
UHS-Ⅱ最大156MB/s (Full Duplexモード)
最大312MB/s (Half Duplexモード)
UHS-Ⅲ最大624MB/s

さらにですが、UHSよりさらに早い規格である「SD express」も存在します。最大転送速度は985 MB/sで、「PCIe express」の規格を利用しています。

スピードクラス①

上記のUHS規格をもとにスピードクラスが割り当てられます。

スピードクラス10の例

これは、1秒当たりにデータの転送できる量の目安の最低速度を表しています。

1秒当たりの転送量規格
2MB/sClass 2
4MB/sClass 4
6MB/sClass 6
10MB/sClass 10

「MB/s(sec)」は1秒間に何メガバイトのデータを転送できるかを表す単位です。

2MB/sの場合:1秒間に2MBの転送ができる。

スピードクラス②(UHSスピードクラス)

このあたりが少しややこしいですが、このUの字の中に入る数字は現状「1」か「3」のみです。ここで表されているものは通常のスピードクラスと同じである、1秒当たりにデータの転送できる量の目安の最低速度を表しています。

1秒当たりの転送量規格
10MB/sU1
UHSスピードクラス1
30MB/sU3
UHSスピードクラス3

すスピードクラスのさらに上の速度になります。一般的に「U1」であれば「スピードクラス10」を満たしているということになります。

ビデオスピードクラス

主に4Kなどの高解像度動画撮影の普及を受けて2016年に策定された規格です。内容自体は今までのスピードクラスと同じで、1秒当たりにデータの転送できる量の目安の最低速度を表しています。

1秒当たりの転送量規格
ビデオスピードクラス
6MB/sV6
10MB/sV10
30MB/sV30
60MB/sV60
90MB/sV90

「V60」以上が8K動画撮影、「V10」以上が4K動画撮影に適しているとされています。

アプリケーションパフォーマンスクラス

この規格は主にスマートフォンなどのランダムアクセスの需要増加に伴い策定された、ランダムアクセス速度と通常の転送速度に関するものです。これはスマートフォンのアプリをSDカードに入れて利用する場合などを念頭に置いており、この速度でアプリケーションのパフォーマンスに影響します。現在では「A1」「A2」が存在します。

ランダム
リード転送速度
ランダム
ライト転送速度
1秒当たりの転送量規格
アプリケーション
パフォーマンスクラス
1500IOPS500IOPS10MB/sA1
クラス1
4000IOPS2000IOPS10MB/sA2
クラス2

IOPSとは…1秒当たりにディスクが処理できるI/Oアクセスの数のこと

規格の違いによる速度差の検証

では、今までの規格が実際にどの程度速度差が出るかを検証します。

検証に利用したSDカードリーダーはソニーの「MRW-S1」になります。

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ソニー MRW-S1 SDメモリーカードリーダライター
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USB3.1でUHS-Ⅱに対応したリーダーライタです。

検証に使用するソフトはお馴染み「Crystal Disk Mark 8.0.1」です。

①1GB class4

メーカーTOSHIBA
容量1GB
スピードクラス4

TOSHIBA製です。ショッピングサイトなどを見ると、5000円前後で取引されています。1GBの容量は逆に高価なのですね。

②16GB Class10 UHS-Ⅰ


メーカーSanDisk
容量16GB
UHS
スピードクラス10
UHSスピードクラス記載なし
ビデオスピードクラス記載なし
アプリケーションパフォーマンスクラス記載なし

SanDisk製の定番SDカードです。全国の家電量販店などでよく見ることができます。最大40MB/sとなっています。最近のモデルでは「80MB/s」の表記になっていますが、実際の性能上に差があるのでしょうか。また、UHS-Ⅰに対応しています。

IOPS表記の場合。下二つの性能がランダムアクセス関連。この限りでは表記はないが「A1」の規格をクリアしている。

③32GB Class10 U1

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

TOSHIBA SDHC UHS-Iカード EXCERIA Type1 32GB (SD-GU032G1)
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メーカーTOSHIBA
容量32GB
UHS
スピードクラス10
UHSスピードクラス1
ビデオスピードクラス記載なし
アプリケーションパフォーマンスクラス記載なし

東芝のEXCERIAブランドから発売されたSDカードです。Read95MB/s、Write90MB/sとの記載があり、U1に対応しています。

ほぼ記載通りのスペックがでています。
IOPS表記の場合。下二つの性能がランダムアクセス関連。

④64GB Class10 U3 A10 V10


メーカーTOSHIBA
容量64GB
UHS
スピードクラス10
UHSスピードクラス3
ビデオスピードクラス30
アプリケーションパフォーマンスクラス1

こちらも東芝のSDカード、EXCERIAシリーズです。発売が比較的新しいだけあり、ビデオスピードクラスとアプリケーションパフォーマンスクラスが記載されています。

Read速度に関しては③のほうが早いです。A1スピードクラスとビデオスピードクラスはしっかりとクリアしています。

⑤32GB Class10 UHS-Ⅱ


メーカーTOSHIBA
容量32GB
UHS
スピードクラス10
UHSスピードクラス3
ビデオスピードクラス記載なし
アプリケーションパフォーマンスクラス記載なし

これまでに紹介したSDカードの中では規格上最速になります。UHS-Ⅱに対応しているので専用のリーダーでないと本領を発揮できません。

なんとも偏りのある結果になりました。Readに関してはUHS-Ⅰでは出せない速度を発揮していますが、Write速度は②と同等レベルです。

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