スマートフォンにおいての「液冷」とは。

・そもそもPCの液冷とは

パソコンのCPU、グラフィックボードなどの冷却方式については多くの自作PCユーザーにとって馴染み深いものだと思います。大まかな分類としては、取り付けられたファンを利用し、外から取り込んだ空気でヒートパイプを通じてCPUを冷やす「空冷」、冷却液を利用して「水冷ユニット」越しにCPUの熱を吸収 する「液冷(水冷)」というものに分けられます。

デスクトップパソコンは空冷方式が大多数を占めており、液冷方式のPCは冷却能力の高さから主に高性能かつ消費電力の大きいPCの冷却に利用されています。普段の利用であれば空冷で事足りることが多く、液冷の自作PCを利用する人はよっぽどのPCマニアか静音環境好き(ファンが回転しないことから比較的騒音を抑えることができる)しかいないという印象です。

また、液冷方式は空冷に比べて冷却能力は高いですが、設置、運用の手間やコストが多くかかり、定期的な冷却液の交換など、コストパフォーマンスが良いとは言えません。しかし、写真のようにCPUからのびるパイプや液体が流れる様子など、普通のPCとは一味違ったロマンを感じることができます。

・スマートフォンにおいての液冷

スマートフォンにおいては、主に「ゲーミングスマートフォン」と称される機種に液冷方式を採用しているものが多いです。日本のメーカーからゲーミングスマートフォンは発売されておらず、モバイルゲーミング需要が多い中国の「Xiaomi」の「Black shark」シリーズや、台湾「ASUS」の「ROG Phone」などが販売されています。

ただ、液冷方式だからといって本体に液体を通すパイプが通っているようなものではなく、多くはヒートパイプの中に液体を採用(ベイパーチャンバー英: vapor chamber)している場合が多く、分解しない限り目に触れることがない形となっています。

ベイパーチャンバー(英: vapor chamber)とは、熱伝導性を上げる技術・仕組みの一つ。

その原理は、ヒートシンクのベースを中空構造にし、その中に揮発しやすい液体を封入する。すると、熱源からの熱でその液体が気化した蒸気(vaper)がその空間(chamber)内を移動し、ヒートシンク側に到達すると熱が放出されて液体に戻る。

ベイパーチャンバー 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベイパーチャンバーの例 Xiaomi black shark heloの液冷

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