Intel「N」「J」系CPUの性能比較まとめ。(N4100 N5100)

Intelの現行CPUでも最もローエンドな部類に分類される「N」シリーズと「J」シリーズ。今回はこのシリーズののベンチマークスコア(Passmarkスコア)をリスト化し、比較していきます。
Nシリーズは主にモバイル向けに開発されており、低価格なノートパソコンや、小型PC、スティックPCなどに採用されています。最近ではアイリスオーヤマ初のノートパソコンにも採用され、その性能と価格で話題になりました。
また、Jシリーズはデスクトップ向けとして開発されており、Nシリーズと比較してTDPが高めな傾向にあり、性能も多少高めです。中国メーカーの低価格オールインワンデスクトップや、一部のノートパソコンに採用されています。

N、Jシリーズの特徴

2000年代後半に開発され、ネットブックなどで一時期話題となった「Atom」シリーズの後継シリーズです。「Celeron」などを名乗ってはいますが、あくまでも元はAtomということになります。ちなみに、CeleronやPentiumの「U」シリーズはCoreシリーズ系統となっています。

近年はタブレット向けや組み込み機器向けとして開発されていた「Atom」シリーズですが、タブレット向けCPUとしてのAtomモデルの発表は2015年を最後に行われておらず、現在ではタブレット向け、ノートPC向けとして「N」シリーズの採用例が多いです。

Atomは、インテルの製品分類でも特に低消費電力化が図られたLPIAと呼ばれるカテゴリに属している。LPIA製品としてはマイクロアーキテクチャから新規に開発された初めての製品である。

出典:Wikipedia 『Intel Atom』

2023年以降はブランド変更

2022年9月、Intelはモバイル向けとして安価グレードの『Premium』『Celeron』の両ブランドを終了することを発表しました。2023年以降に発表される両ブランドはすべて『Intel』シリーズとして展開が継続される予定とのことですが、デスクトップ向けは不明ながら、現行のIntelCPUの中で最も歴史の古い両ブランドが終了というは個人的に衝撃です。

ただ、現状の両ブランドはCore系の『Premium Gold Y』と、Atom系の『Pentium Silver N』『Celeron N』などとかなり複雑かつ差が分かりにくい状況でしたので、これらをまとめてわかりやすくするという点ではとても合理的です。なお、これまで通り『N』『U』などの命名規則に変更はないそうですので、このページでまとめて紹介します。

このように統合される見込み

また、Nシリーズは『Eコア(省消費電力コア)』のみを使用したものとして扱うようで、2023年には『Core i3』シリーズが一部ラインナップ入りしました。もはやCoreシリーズとは??という状況ですが、このページでまとめて紹介します。

Nシリーズの性能まとめ

ここ5年ほどのNシリーズをまとめています。

(2021年11月時点)

型番型番
(SKU)
コア/
スレッド
ベース
クロック
(GHz)
ブースト
クロック
(GHz)
Passmark
スコア
L3キャッシュTDP登場年
Core i3N3058/83.86MB15W2023
Core i3N3008/83.86MB7W2023
IntelN2004/43.46MB6W2023
IntelN1004/43.46MB6W2023
IntelN974/42.03.66MB12W2023
IntelN502/21.03.46MB6W2023
PentiumN64154/41.23.037601.5MB
(L2)
6.5W2021
Pentium
silver
N60054/423.341434MB10W2021
Pentium
silver
N60004/41.13.332244MB6W2021
Pentium
silver
N50304/41.13.126644MB6W2019
PentiumN4200E4/41.12.52MB6W2019
Pentium
silver
N50004/41.12.725824MB6W2017
PentiumN42004/41.12.521392MB6W2016
PentiumN37104/41.62.5613582MB6W2016
CerelonN62112/21.23.022071.5MB
(L2)
6.5W2021
CerelonN62102/21.22.61.5MB
(L2)
6.5W2021
CerelonN62102/21.22.61.5MB
(L2)
6.5W2021
CerelonN51054/42.02.941614MB10W2021
CerelonN51004/41.12.831984MB10W2021
CerelonN5095A4/42.02.946274MB15W2021
CerelonN50954/42.02.940834MB15W2021
CerelonN45002/21.12.821114MB10W2021
CerelonN41204/41.12.624994MB6W2019
CerelonN41004/41.12.424534MB6W2017
CerelonN40202/21.1G2.815914MB6W2019
CerelonN40002/21.12.610224MB6W2017
CerelonN34504/41.12.219242MB6W2016
CerelonN33502/21.12.411472MB6W2016
CerelonN31604/41.62.2410962MB6W2016
CerelonN30602/21.62.486672MB6W2016

『Celeron N5095(A)』はTDPが15Wに設定されているため、相対的にPassmarkスコアも高い傾向にあります。

Jシリーズの性能まとめ

型番型番
(SKU)
コア/
スレッド
ベースクロックブーストクロック
PassmarkL3キャッシュTDP発表年
PentiumJ64264/41.2341371.5MB(L2)10W2021
Pentium
Silver
J50404/42.03.236114MB10W2019
Pentium
Silver
J50054/41.52.830464MB10W2017
PentiumJ42054/41.52.623842MB10W2016
PentiumJ37104/41.62.6414352MB6.5W2016
CeleronJ61434/41.83.040751.5MB(L2)10W2021
CeleronJ61424/42.02.638941.5MB(L2)10W2021
CeleronJ41254/42.02.730384MB10W2019
CeleronJ41154/41.82.527234MB10W2020
CeleronJ41054/41.52.529274MB10W2017
CeleronJ40252/22.02.916934MB10W2019
CeleronJ40052/22.02.715814MB10W2017
CeleronJ34554/41.52.322372MB6W2016
CeleronJ33552/22.02.512352MB6W2016
CeleronJ31604/41.62.2412142MB(L2)6W2016

CoreシリーズとのPassmark比較

現在メインのNシリーズと、性能が近い主流ノート用CPUとベンチマーク性能を比較してみます。

SKUアーキテクチャベース/
ブーストクロック
コア/
スレッド
プロセスルールL3
キャッシュ
TDP発表年Passmark
スコア
(2022/02)
Core i7-8565UWhiskey Lake1.8/4.6GHz4/814nm8MB15W20186364
Core i3-1115G4Tiger Lake1.7/4.1GHz2/410nm6MB12~28W20206346
Pentium
Silver N6005
Jasper Lake2.0/3.3GHz4/410nm4MB10W20214143
Core i3-8145UWhiskey Lake2.1/3.9GHz2/414nm4MB15W20183831
Pentium N6415Elkhart Lake1.2/3.0GHz4/410nm1.5MB
(L2)
6.5W20213760
Core i7-7600UKaby Lake2.8/3.9GHz2/414nm4MB15W20173609
Celeron N5100Jasper Lake1.1/2.8GHz4/410nm4MB6W20213151
Core i5-5300UBroadwell2.3/2.9GHz2/414nm3MB15W20152737
Pentium
Silver N5000
Gemini Lake1.1/2.7GHz4/414nm4MB6W20172593
Celeron N4120Gemini Lake
Refresh
1.1/2.6GHz4/414nm4MB6W20192486
Core i3-5010UBroadwell2.1GHz2/414nm3MB15W20152486
Celeron N3450Apollo Lake1.1/2.2GHz4/414nm2MB
(L2)
6W20161921
Celeron N4020Gemini Lake
Refresh
1.1/2.8GHz2/214nm4MB6W20191585
Core i3-3227UIvy Bridge1.9GHz2/422nm3MB17W20131241

グラフでは、青色がCore系統、橙色がN、Jシリーズ系統として扱っています。

さすがに近年の世代のCPUにはかないませんが、4年程度前のモデルであれば数値上では充分に勝っていると言えるのがわかります。

安めのノートPCを購入するときの選択肢として、CoreCPU搭載の中古も選択肢に入るかもしれませんが、意外にCeleronやPentiumの新品ノートパソコンのほうが安くて性能が良い、みたいなこともあるかもしれません。

あくまでも数値上の性能であり、必ずしもこの数値が実際の使用感の差に表れるとは限りませんが、これらのデータをパソコン購入時の参考にしていただけると幸いです。

仕様性能比較まとめシリーズの記事

「J」「N」シリーズを搭載したPC

筆者が実際に購入したノートパソコンです。メモリ8GB&SSD256GB、タッチ対応FHDディスプレイなのに関わらず、Amazonで実売40,000円前後で販売されています。現在は後継モデルとして「Celeron N5100」を搭載した「BMAX Y11 Plus」も発売されています。

USキーボードとメーカーが気にならなければア〇リ〇オーヤマのPCの100倍オススメできます。ほとんどすべての点において上を行くスペックです。ただ、やはりメーカーは重要ですよね。サポートとかも気になる人は多いですし。

下記のページでは、CeleronN4120を搭載した「BMAX Y11」とCorei5-4200Uを搭載した「VAIO Pro11」の性能を比較しています。単純なCPUの性能のみならず、ストレージやメモリ、グラフィックなどにも差が出ていますので、参考程度にご確認ください。

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